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研究書(文学系) 詳細

9784838607464

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源氏物語を開く

専門を異にする国文学研究者による論考54編
書名かな げんじものがたりをひらく せんもんをことにするこくぶんがくけんきゅうしゃによるろんこう54へん
著者(編者)名 久保朝孝 編
著者(編者)名かな くぼともたか
ISBNコード 978-4-8386-0746-4
本体価格 14,000円
税込価格 15,400円
判型 A5判上製カバー装
頁数 720頁
刊行日 2021年3月31日
在庫 品切れ中
『源氏物語』研究を開放したい、
それが本書のねらいである。
 日本の古典文学を代表するこの作品は、千年という途方もない時間の試練に堪え得たものだけに許される、きわめて分厚い研究の歴史を含有する。また、それは現在も止まることなく、陸続と新しい研究成果が公表され続けてもいる。それゆえに、その研究史を、そして研究の現在を把握しなければ、『源氏物語』について論じることが困難になってしまっているのではないか。
 本書は、『源氏物語』研究を従来の『源氏物語』専門または中古文学研究者以外の国文学研究者に広く開放し(あるいは参画を促し)、新たな視点・方法・問題意識等を自由に導入することにより、『源氏物語』研究および作品世界を一層拡大・深化させる機縁とするものである。

桐 壺:「人情」は〈近代〉のものか?
     ―明治期における『源氏物語』受容と坪内逍遙『小説神髄』
                  ……大橋崇行
帚 木:「帚木」における神話的構造
     ─歌の男と歌の女……猪股 ときわ
空 蝉:近松門左衛門作『大経師昔暦』考
    ─空蟬と玉との共通性に着目して見えてくるもの─……黒石陽子
夕 顔:源氏十七歳の秋
     ─交錯する前奏曲と通奏低音─……近本謙介
若 紫:行為・出来事の複数性と複合的な話法
     重層性・両義性を読む……西田谷洋
末摘花:「末摘花」巻にみる換喩的性質について
     ―異形の姫をとりまく「心もとなき」空間と時間……寺島 徹
紅葉賀:芸能的視点による分析と考察
     ―舞楽・管弦・催馬楽の描写意図と喜劇的展開―……林 和利
花 宴:源氏物語のわかりやすい授業作りを目指して
     教材研究および授業展開の視点から……梅藤仁志
 葵 :車争いにみる主体性
     ─供人たちの位相と物の怪……吉田竜也
賢 木:岩佐又兵衛の源氏絵と絵巻
     ─『源氏物語』受容と享受の一様相─……深谷 大
花散里:「花散里」から考える江戸の源氏受容
     ─『偐紫田舎源氏』の成功……津田眞弓
須 磨:須磨の海
     院政期から須磨巻を読む……菅野扶
明 石:映画の中の明石の君
     ─武智鉄二「源氏物語」論……中村 ともえ
澪 標:溺れたい人/溺れたくない人
     ─澪標・物語行為としての水先案内─……永井聖剛
蓬 生:リーチ&ショートによってアイロニーを取り出す
     ―談話分析で読む「蓬生」巻―……木股知史
関 屋:さらば青年の日の幻影
     ─欠如から充足へむかう〈空蝉物語〉─……高木 信
絵 合:「かの浦々の巻」の帰趨
     ─藤壺の判歌と光源氏流離譚の終熄─……太田真理
松 風:円地文子『女面』と明石一族の物語
     シスターフッドへの想像力……鈴木直子
薄 雲:上田秋成と「薄雲」巻
     ―詠源氏物語和歌・源氏物語評論・春秋優劣論―……近衞典子
朝 顔:朝顔の姫君とその物語の造形
     ─「朝顔」の由来・「ねびまさる」女君・「ほほゆがむ」─
                   ……高松寿夫
少 女「つくまのの紫」と「つくまえのみくり」
     ─古今和歌六帖歌をめぐって─……新沢典子
玉 鬘:ハーレム六条院の完成とその崩壊の予感
     ―瑠璃と玉鬘、二つの名を持つ姫君の物語―……尾形明子
初 音:山東京伝の読本『絵本梅花氷裂』と『源氏物語』
     ─女性の表象と後妻打ちをめぐって─……山名順子
胡 蝶:「胡蝶」における庭園と
      光源氏のセクシュアリティについて
     ─感性と美学、ビオスとゾーエー……水川敬章
 蛍 :蛍の光は何を照らし出したか
     ─語りの批評性と玉鬘の物語(論)─……安西晋二
常 夏:近江の君
     ─その登場の背景と影響をめぐって─……德竹由明
篝 火:柏木の和琴、玉鬘の和琴
     ─篝火巻における司馬相如伝の典拠を起点に─……山本大介
野 分:「あくがる」の訳をめぐる一考察
     ─円地文子訳の深層としての六条御息所……増田祐希
行 幸:現代文学としての源氏物語
     ─玉鬘・末摘花・近江の君のストーリー……都築春彦
藤 袴:光源氏と夕霧
     ─父と息子の対決─……佐藤綾佳
真木柱:「心もてあらぬ」結婚と玉鬘の〈場所〉
     ―六条院、鬚黒家……二瓶浩明
梅 枝:アクティブ・ラーニングを取り入れた
              源氏物語の授業構想
    ─薫物合わせ、贈答歌の体験を通した主体的な学び
                     ……小塩卓哉
藤裏葉:近世版本の挿絵に描かれた「藤裏葉」巻
     ―巻を象徴する図様……菊池庸介
若菜上:『若菜上』を読む
     ─方法論の視座から─……柳瀬善治
若菜下:やんごとなき人々の葛藤
     ―女房革命が暴くもの―篠崎 美生子
柏 木:柏木と女三の宮の贈答
     ─歌の論理と散文の論理─……大浦誠士
横 笛:『源氏物語』と『伊勢物語』二十三段
     ─雲居雁をめぐって─……高野奈未
鈴 虫:「おなじ」ものと「かはれる」もの
     ―鈴虫巻を流れる時間―……坂 堅太
夕 霧:猿楽的世界の魅力
     夕霧の恋の喜劇性……植木朝子
御 法:高校生と御法巻を全部読む
     ─興味・関心を高める授業づくりの提案─……小崎早苗
 幻 :光源氏と世之介
    ─「幻」巻と西鶴『好色一代男』最終章の比較から─……佐伯孝弘
匂 宮:第二世代から第三世代へ
     ─「伏線」と「照応」の視点から─……光延真哉
紅 梅:「さかしら」がる紅梅と真木柱
     ─桐壺帝の孫娘を求める匂宮との関係─……高橋広満
竹 河:草子地と語り手/書き手の戦略
     ─与謝野源氏と谷崎源氏の比較を通して……吉田司雄
橋 姫:中世人は「橋姫」をどう読んだのか
     ―伊行・定家を勝手に越えていった素寂・範政・兼良の源氏学
                     ……前田雅之
椎 本:椎の木が想起させるもの
     ―歌・物語・俳諧をつないで―……早川由美
総 角:零度のコミュニケーション
     ―枯れ行く大君・人形を愛する薫……田中貴子
早 蕨:早蕨巻の時間意識
     ―回帰する時間・直進する時間……木下華子
宿 木:光源氏と薫―「聖」と「俗」の引力―……長濵拓磨
東 屋:〈うすらぼんやり姫〉浮舟の物語始動
     ―『源氏物語』の女君たちの〈人形〉か?……高田晴美
浮 舟:浮舟の憂悶―死へ向かうおんな―……影山尚之
蜻 蛉:薫の喪
     ―〈他者〉への哀惜の帰趨するところ……竹内瑞穂
手 習:終焉の予感―周縁ゆえの内面の自律―……髙橋龍夫
夢浮橋:『源氏物語』の終わりかた
      ―認知バイアスの分析から―……野中哲照


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