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『平安朝物語の後宮空間─宇津保物語から源氏物語へ─』

平安朝物語の後宮空間 画像
  • 現代の我々には、とっさに桐壺や弘徽殿が内裏のどこにあるかなどは思い浮かばないが、当時の読者にはそれが常識であり、いちいち説明されなくても分かっていたのであった。作者がわざわざ書かなかった部分まで含めて物語を理解するためには、当時の殿舎の実態を知らなければならないが、それについては、未だ完全には解明されていないというのが現状である。
  • 本書は、各殿舎についてそれぞれ史料を徹底的に調査する中で新たに知り得た情報を手掛かりに、現存する最古の長編物語である『宇津保物語』と、その影響を多大に受けつつも、さらに発展させ、巧みに後宮を描き出した『源氏物語』の二作品を考察し、その後宮空間を描き出す方法に迫る。

  • 序/平安宮内裏図/凡 例 
  •   第一編 『宇津保物語』の後宮空間
  • 第一章 朱雀帝后宮考─常寧殿を用いる母后─
       一 はじめに
       二 史実における常寧殿(后町)
       三 母后の内裏滞在と政治
       四 結び
  • 第二章 仁寿殿女御考─その殿舎をめぐって─
       一 はじめに
       二 史実における仁寿殿
       三 『宇津保物語』の仁寿殿
       四 後宮の主役、仁寿殿女御
          1 内侍のかみ巻と仁寿殿女御
          2 華麗なる「賄ひの女御」
       五 結び
  • 第三章 東宮の後宮─梨壺の問題を中心に─
       一 はじめに
       二 史上における梨壺の皇妃─慶子と安子
       三 仲忠妹の設定─梨壺に住まう東宮妃
       四 内裏にひしめく東宮妃たち─非現実的な東宮後宮
       五 結び
  •   第二編 『宇津保物語』から『源氏物語』への展開
  • 第一章 殿舎名で呼ばれる更衣たち─梅壺更衣から桐壺更衣へ─
       一 呼称「桐壺更衣」の先行研究と問題点
       二 皇妃の俗称としての「更衣」
       三 忠こそ巻と桐壺巻
  • 第二章 藤壺の系譜─『宇津保物語』あて宮を始発として─
       一 はじめに
       二 史実における藤壺の皇妃たち
       三 あて宮と藤壺
       四 藤壺中宮への影響
          1 寵妃から母后への変貌
          2 男主人公との絆─密通の有無
       五 結び
  • 第三章 宇津保・源氏の承香殿─悲願を果たしえぬ皇妃たち─
       一 はじめに
       二 史上の承香殿女御─時めかぬ女御たち
       三 物語の承香殿たち─後宮の脇役としての造型
       四 結び
  •   第三編 『源氏物語』の後宮空間
  • 第一章 斎宮女御の梅壺入り─後見との関わりをめぐって─
       一 はじめに
       二 梅壺の皇妃たち
       三 光源氏の配慮
         「うけばりたる親ざまには聞こしめされじ」
       四 結び
  • 第二章 玉鬘の踏歌見物─宮中参内の意義をめぐって─
       一 はじめに
       二 承香殿の共用
       三 男踏歌の六条院への不参
       四 天皇と臣下の人妻の恋
       五 結び
  • 第三章 女三宮の輿入れ─入内・参院儀礼と比較して─
       一 はじめに
       二 平安時代の天皇・上皇の婚姻儀礼
          1 先行研究の問題点
          2 益田勝実説の再検討
       三 「准太上天皇」の利用
       四 結び
  • 第四章 宿木巻の藤壺女御─繰り返される藤壺─
       一 はじめに
       二 御代替わりに伴う皇妃の移動
       三 物語の内なる準拠
       四 結び
  • 初出一覧/あとがき/索引

『平安朝物語の後宮空間─宇津保物語から源氏物語へ─』

著者 栗本賀世子

頁数:256頁

定価:本体8500+税

ISBN 978-4-8386-0269-8

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